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アドベンチャーレースにおけるCP密集地帯のナビゲーション戦略:時間損失を防ぐ判断の検証

Tags: アドベンチャーレース, ナビゲーション, レースレポート, CP密集地帯, ルート判断

アドベンチャーレースにおいて、チェックポイント(CP)が密集しているエリアは、ナビゲーションの正確性とルート判断の迅速さが試される重要な局面です。このレポートでは、先日の「ミスティアイルズアドベンチャー」(架空のレース名)におけるCP密集地帯での経験を詳細に振り返り、そこで直面した課題、具体的な判断、そして次に活かすべき教訓を共有いたします。

「ミスティアイルズアドベンチャー」は、36時間のミドルレースで、特にコース中盤に大小の丘と入り組んだ谷が多く存在するエリアにCPが集中していました。このセクションでの判断が、最終的なタイムに大きく影響すると事前に分析していました。この記事では、特にこのCP密集地帯でのナビゲーションに焦点を当て、どのようにアプローチし、どのような判断を下し、その結果どうなったのかを検証します。

レース前の準備:CP密集地帯への戦略

このCP密集地帯への対策は、レース前の準備段階で最も時間をかけた部分の一つです。このエリアの地図は等高線が細かく、小さな沢や岩、植生の変化が多く記されており、正確な位置確認が求められると予測しました。

具体的な準備としては、以下の点に注力しました。

レース中の詳細:CP密集地帯での実践

CP密集地帯に突入したのは、レース開始から約10時間後、既に体力的・精神的な疲労が出始めていた頃でした。夜間から明け方にかけての時間帯であり、視界も限られていました。

エリア最初のCPへ向かう際、事前に検討したルート候補の中から、やや距離は増えるものの、明確な尾根筋を利用するルートを選択しました。疲労と夜間という条件を考慮し、リスクの少ない安全策を選んだ判断です。この判断は奏功し、正確にCPに到達することができました。

問題は、その後の複数のCPを回るセクションで発生しました。地図上では近接しているように見えるCP間でも、実際には複雑な小沢や急斜面が入り組んでおり、直線的に進むことが難しい状況でした。

あるCPから次のCPへ移動する際、地図上の等高線パターンと実際の地形が夜間で見えにくく、また疲労からか地図読みが甘くなっていたことで、一つ手前の小沢を目標物と誤認してしまいました。これにより、本来進むべき方向からわずかにずれてしまい、次のCPになかなか到達できませんでした。チーム内で「おかしい」と気づいたのは、本来通過するはずのない植生の変化に遭遇した時でした。

この時、迅速な対応が求められました。

CP密集地帯を抜けるまで、このような細かい判断と、時にはミスからの修正を繰り返しました。特に、疲労が増すにつれて、地図上の距離感や方角の感覚が鈍くなることを実感しました。チーム内での声かけや、意識的な相互確認が、これ以上の大きなミスを防ぐ上で非常に重要でした。

装備面では、ヘッドライトの光量とバッテリー持ちが、夜間の細かい地形を読む上で非常に重要でした。また、地図をすぐに取り出せる場所に収納しておくこと、濡れないように適切に保護することも、ナビゲーション効率に直結しました。

詳細な振り返りと分析

このCP密集地帯での経験は、多くの学びを提供してくれました。

成功要因:

失敗要因:

読者への学び:

装備レビュー

今回のCP密集地帯でのナビゲーションを振り返る上で、特に重要だと感じた装備についてレビューします。

具体的な改善策

今回の経験から得た学びを活かし、次回のレースに向けて以下の具体的な改善策を実行します。

  1. 地図読み練習の強化:
    • 特に等高線が密なエリア、地形が複雑なエリアに焦点を当て、様々な縮尺の地形図(1/25000、1/50000など)を用いて読み込み練習を行います。
    • 地図上の特定の地形特徴(ピーク、鞍部、沢の源頭、尾根の末端など)を、地形図だけを見て素早く特定する練習を行います。
    • 国土地理院のWebサイトなどで公開されている空中写真と地形図を照らし合わせ、地図上の情報と実際の地形の見え方を比較する練習を行います。
  2. コンパスワークと歩測の精度向上:
    • 平坦地だけでなく、アップダウンのある地形や植生の密な場所で、目標地点に対して正確に進むコンパスワークの練習を行います。
    • 疲労下を想定し、心拍数を上げた状態でのコンパスワーク練習も取り入れます。
    • 100mや200mあたりの歩数を様々な斜度で計測し、歩測の精度を高めます。
  3. チームナビゲーションシミュレーション:
    • 地図とコンパスのみを用いて、CP設定された架空コースをチームでナビゲーションする練習を行います。
    • 意図的に簡単なナビゲーションミスを発生させ、そこからのリカバリー手順(現状把握、原因特定、修正)をチームで実践練習します。
    • 疲労が判断に影響する状況を想定し、夜間や長時間の練習中にシミュレーションを行います。
  4. 疲労下の判断力維持への対策:
    • 長時間のトレーニングの中で、意識的に集中力を持続させる練習を行います。
    • レース中の適切な休憩と補給のタイミングについて、チームで明確なルールを設けます。
    • 精神的な落ち込みや焦りを感じた際の、チーム内での具体的な声かけや対処法を事前に話し合っておきます。

これらの改善策を通じて、CP密集地帯のようなナビゲーション難易度の高いセクションにおいて、より正確で効率的なルート選択と判断ができるようになることを目指します。

まとめ

「ミスティアイルズアドベンチャー」のCP密集地帯での経験は、アドベンチャーレースにおけるナビゲーションの奥深さと難しさ、そしてチーム連携の重要性を改めて教えてくれました。特に、疲労困憊下での正確な判断がいかに困難であり、事前の準備とレース中の意識的な確認作業が不可欠であることを痛感しました。

CP密集地帯は、単にCPを順番に回るだけでなく、エリア全体の地形を俯瞰し、最適なルートを瞬時に判断する能力が求められます。今回の失敗から学んだ教訓を、具体的な練習と準備に落とし込み、次回のレースではこのセクションをよりスマートにクリアできるように努めます。読者の皆様のナビゲーションスキル向上の一助となれば幸いです。